企業会計原則(企原)

 

企業会計原則の規定文と、それに関する会計理論の重要論点をまとめています。伝統的な会計学の理論対策として必ずマスターしましょう。

 

一般原則の会計理論

規定文(1)

 

第一 一般原則

 

 企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。

 

 企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない。(注1)

 

[注1] 重要性の原則の適用について(一般原則二、四及び貸借対照表原則一)

 企業会計は、定められた会計処理の方法に従って正確な計算を行うべきものであるが、企業会計が目的とするところは、企業の財務内容を明らかにし、企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにすることにあるから、重要性の乏しいものについては、本来の厳密な会計処理によらないで他の簡便な方法によることも正規の簿記の原則に従った処理として認められる。

 重要性の原則は、財務諸表の表示に関しても適用される。

 重要性の原則の適用例としては、次のようなものがある。

(1)  消耗品、消耗工具器具備品その他の貯蔵品等のうち、重要性の乏しいものについては、その買入時又は払出時費用として処理する方法を採用することができる。

(2)  前払費用、未収収益、未払費用及び前受収益のうち、重要性の乏しいものについては、経過勘定項目として処理しないことができる。

(3)  引当金のうち、重要性の乏しいものについては、これを計上しないことができる。

(4)  たな卸資産の取得原価に含められる引取費用、関税、買入事務費、移管費、保管費等の付随費用のうち、重要性の乏しいものについては、取得原価に算入しないことができる。

 

 資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金利益剰余金とを混同してはならない。(注2)

 

[注2] 資本取引と損益取引との区別について(一般原則三)

(1)  資本剰余金は、資本取引から生じた剰余金であり、利益剰余金は損益取引から生じた剰余金、すなわち利益の留保額であるから、両者が混同されると、企業の財政状態及び経営成績が適正に示されないことになる。従って、例えば、新株発行による株式払込剰余金から新株発行費用を控除することは許されない。

 

 企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。(注1)(注1-2)(注1-3)(注1-4)

 

[注1] 重要性の原則の適用について

(5)     分割返済の定めのある長期の債権又は債務のうち、期限が一年以内に到来するもので重要性の乏しいものについては、固定資産又は固定負債として表示することができる。

[注3] 法人税等の追徴税額等について(損益計算書原則八)

 法人税等の更正決定等による追徴税額及び還付税額は、税引前当期純利益に加減して表示する。この場合、当期の負担に属する法人税額等とは区別することを原則とするが、重要性の乏しい場合には、当期の負担に属するものに含めて表示することができる。


論点

 

■真実性の原則

 

○要請内容

 最高規範  真実な報告を提供するため  他のすべての条項を遵守

 

○「真実」の意味

 絶対的ではない  相対的真実性  

 理由 → 今日の財務諸表  記録された事実  会計上の慣習  個人的判断  総合的表現

    → 社会的要請  会計目的は時代とともに変遷  目的依存的概念

 

■正規の簿記の原則

 

○要請内容

 適正な会計処理  正確な会計帳簿の作成  誘導法による財務諸表の作成

 

○正確な会計帳簿の要件

 

 網羅性 → 会計帳簿 記録すべき事実すべて記録

 検証性 → 記録はすべて客観的な証拠資料に基づく

 秩序性 → 記録が一定の法則に従って組織的・体系的に秩序正しく

 

○会社法の規定

 適時に正確な会計帳簿を作成しなければならない

 

資本・利益区別の原則

 

要請内容と必要性

資本取引・損益取引区別の原則

 期首自己資本  自己資本の利用  適正な期間損益計算

 資本剰余金・利益剰余金区別の原則

  自己資本内部  資本取引から生じた資本剰余金  維持拘束性

          損益取引から生じた利益剰余金  処分可能性  財政状態・経営成績

 

■明瞭性の原則

 

○要請内容と必要性

 財務諸表  会計情報  適正開示と明瞭表示  利害関係者  財務諸表  企業の状況  唯一

 

○前提

 所有と経営の分離  (しかし知る権利は無限ではない → 制度会計により制限)

 

規定文(2)

 

[注1-2] 重要な会計方針の開示について(一般原則四及び五)

 財務諸表には、重要な会計方針を注記しなければならない。

 会計方針とは、企業が損益計算書及び貸借対照表の作成に当たって、その財政状態及び経営成績を正しく示すために採用した会計処理の原則及び手続並びに表示の方法をいう。

 会計方針の例としては、次のようなものがある。

 イ 有価証券の評価基準及び評価方法

 ロ たな卸資産の評価基準及び評価方法

 ハ 固定資産の減価償却方法

 ニ 繰延資産の処理方法

 ホ 外貨建資産、負債の本邦通貨への換算基準

 ヘ 引当金の計上基準

 ト 費用・収益の計上基準

 代替的な会計基準が認められていない場合には、会計方針の注記を省略することができる。

[注1-3] 重要な後発事象の開示について(一般原則四)

 財務諸表には、損益計算書及び貸借対照表作成する日までに発生した重要な後発事象を注記しなければならない。

 後発事象とは、貸借対照表日後に発生した事象で、次期以後の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすものをいう。

 重要な後発事象を注記事項として開示することは、当該企業の将来の財政状態及び経営成績を理解するための補足情報として有用である。

 重要な後発事象の例としては、次のようなものがある。

 イ 火災、出水等による重大な損害の発生

 ロ 多額の増資又は減資及び多額の社債の発行又は繰上償還

 ハ 会社の合併、重要な営業の譲渡又は譲受

 ニ 重要な係争事件の発生又は解決

 ホ 主要な取引先の倒産

[注1-4] 注記事項の記載方法について(一般原則四)

 重要な会計方針に係る注記事項は、損益計算書及び貸借対照表の次にまとめて記載する。

 なお、その他の注記事項についても、重要な会計方針の注記の次に記載することができる。

 

 企業会計は、その処理の原則及び手続毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。(注1-2)(注3)

[注3] 継続性の原則について(一般原則五)

 企業会計上継続性が問題とされるのは、一つの会計事実について二つ以上の会計処理の原則又は手続の選択適用が認められている場合である。

 このような場合に、企業が選択した会計処理の原則及び手続を毎期継続して適用しないときは、同一の会計事実について異なる利益額が算出されることになり、財務諸表の期間比較を困難ならしめ、この結果、企業の財務内容に関する利害関係者の判断を誤らしめることになる。

 従って、いったん採用した会計処理の原則又は手続は、正当な理由により変更を行う場合を除き、財務諸表を作成する各時期を通じて継続して適用しなければならない。

 なお、正当な理由によって、会計処理の原則又は手続に重要な変更を加えたときは、これを当該財務諸表に注記しなければならない。

 

論点

 

■会計方針

 

○意義

 損益計算書・貸借対照表の作成  財政状態・経営成績を正しく示すために採用

 会計処理の原則及び手続き並びに表示の方法

 

○開示理由

 財務諸表の作成にあたっての前提を明らか  利害関係者  理解助ける

 

○重要な会計方針の変更の記載方法

 その旨・変更の理由・当該変更が財務諸表(計算書類)に与えている影響の内容

 財務諸表等規則 → キャッシュ・フロー計算書の次

 会社計算規則  → 注記表

 

後発事象

 

意義

貸借対照表日後に発生した事象  次期以後の財政状態・経営成績に影響を及ぼす

 

○開示理由

 企業の将来の財政状態・経営成績を理解するための補足情報として有用

 

第一の事象

修正後発事象  決算日現在の状況に関連する見積り  追加的・客観的な資料を提供

 当該会計期間の財務諸表に反映

第二の事象

開示後発事象  当該会計期間の財務諸表には影響しない  次期以後に影響

 当該会計期間の財務諸表に注記

 

■継続性の原則

 

要請内容

一つの会計事実  二つ以上の会計処理の原則又は手続の選択適用 (←前提)

企業がいったん採用した会計処理の原則及び手続を毎期継続して適用

 

○前提自体の必要性

 企業は業種・規模などが多様  複数の会計処理を認めたほうが適正な開示が可能

 

○継続性の原則の必要性

 経営者の利益操作を排除  財務諸表の期間比較性を確保

 ただし正当な理由がある場合に継続性の変更は認められる  企業会計がより合理的なものになる

 内的理由 → 企業の大規模な経営方針の変更  外的理由 → 経済環境の急激な変化

 

規定文(3)

 

 企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。(注4)

 

[注4] 保守主義の原則について(一般原則六)

 企業会計は、予測される将来の危険に備えて慎重な判断に基づく会計処理を行わなければならないが、過度に保守的な会計処理を行うことにより、企業の財政状態及び経営成績の真実な報告をゆがめてはならない。

 

 株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない。

 

第二 損益計算書原則

 

(損益計算書の本質)

 

 損益計算書は、企業の経営成績を明らかにするため、一会計期間に属するすべての収益とこれに対応するすべての費用とを記載して経常利益を表示し、これに特別損益に属する項目を加減して当期純利益を表示しなければならない。

 

 すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない。ただし、未実現収益は、原則として、当期の損益計算に計上してはならない。

 前払費用及び前受収益は、これを当期の損益計算から除去し、未払費用及び未収収益は、当期の損益計算に計上しなければならない。(注5)

 

[注5] 経過勘定項目について(損益計算書原則一のAの二項)

(1)  前払費用

 前払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価をいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の費用となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の資産の部に計上しなければならない。また、前払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による前払金とは区別しなければならない。

(2)  前受収益

 前受収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、いまだ提供していない役務に対し支払を受けた対価をいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の収益となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。また、前受収益は、かかる役務提供契約以外の契約等による前受金とは区別しなければならない。

 

論点

 

保守主義の原則

 

要請内容

ある会計処理  幾通りもの判断ができる場合  予測される将来の危険に備えて  慎重な判断

 

○真実性の原則との関係

 一般に公正妥当と認められた会計処理の原則及び手続の枠内で適用  真実性の原則に反しない

 過度の保守主義  期間損益計算を不適正  真実性の原則に反する

 

 

■損益計算の構造

 

○今日の発生主義会計の枠組み

 収益は実現主義の原則により認識(期間実現収益が把握)

 費用は発生主義の原則により認識(期間発生費用が把握)

 その後費用収益対応の原則により期間実現収益と対応する期間対応費用が抜き出される

 収益は収入額基準により測定(広義の収入額を意味する)

 費用は支出額基準と費用配分の原則により測定(広義の支出額を意味する)

 

現金主義会計から発生主義会計に移行した理由

信用経済制度の発展  棚卸資産在庫の恒常化  固定設備資産の増大  適正な期間損益計算

 

○今日の発生主義会計の本質

 処分可能利益の計算という制約  その枠内でできるだけ正確な期間損益計算

 

○実現の要件

 財貨又は用役の提供と貨幣性資産の受領(狭義) = 販売基準 (企原の考え方)

 収益に確実性と金額に客観性(広義)※

 

  ※販売基準を基本としながらも部分的に発生基準なども原則となりえる(工事進行基準など)

 

○費用の発生概念

 財貨又は用役の価値費消事実の発生(狭義)  

 財貨又は用役の価値費消事実の発生と財貨又は用役の価値費消原因事実の発生(広義)

 

規定文(4)

 

(3)  未払費用

 未払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、すでに提供された役務に対していまだその対価の支払が終らないものをいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過に伴いすでに当期の費用として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。また、未払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による未払金とは区別しなければならない。

(4)  未収収益

 未収収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、すでに提供した役務に対していまだその対価の支払を受けていないものをいう。従って、このような役務に対する対価は時間の経過に伴いすでに当期の収益として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表の資産の部に計上しなければならない。また、未収収益は、かかる役務提供契約以外の契約等による未収金とは区別しなければならない。

 

 費用及び収益は、総額によって記載することを原則とし、費用の項目と収益の項目とを直接に相殺することによってその全部又は一部を損益計算書から除去してはならない。

 

 費用及び収益は、その発生源泉に従って明瞭に分類し、各収益項目とそれに関連する費用項目とを損益計算書に対応表示しなければならない。

 

(損益計算書の区分)

 

 損益計算書には、営業損益計算経常損益計算及び純損益計算の区分を設けなければならない。

 

 営業損益計算の区分は、当該企業の営業活動から生ずる費用及び収益を記載して、営業利益を計算する。二つ以上の営業を目的とする企業にあっては、その費用及び収益を主要な営業別に区分して記載する。

 

 経常損益計算の区分は、営業損益計算の結果を受けて、利息及び割引料、有価証券売却損益その他営業活動以外の原因から生ずる損益であって特別損益に属しないものを記載し、経常利益を計算する。

 

 純損益計算の区分は、経常損益計算の結果を受けて、前期損益修正額、固定産売却損益等の特別損益を記載し、当期純利益を計算する。

 

 純損益計算の結果を受けて、前期繰越利益等を記載し、当期未処分利益を計算する。

 

(営業利益)

 

 営業損益計算は、一会計期間に属する売上高と売上原価とを記載して売上総利益を計算し、これから販売費及び一般管理費を控除して、営業利益を表示する。

 

 企業が商品等の販売と役務の給付とをともに主たる営業とする場合には、商品等の売上高と役務による営業収益とは、これを区別して記載する。

 

論点

 

■損益計算書の作成原則

 

総額主義の原則

 

 費用と収益とを直接相殺  その全部又は一部を損益計算書か除去してはならない

 利益の源泉となった取引の量的規模を明瞭に表示  企業の経営活動の状況明らか

 例外 → 売上高仕入高(営業上の機密を露呈)

      為替差損益(為替相場の変動による影響をどれくらい受けたかを端的に)

 

費用収益対応表示の原則

 

 利益の発生原因を明らかに  収益と費用を適宜分類  相互に関連

 実質的対応関係  個別的対応(売上高と売上原価)

          期間的対応(売上高と販売費及び一般管理費)

 取引の同質性(営業外収益と営業外費用・特別利益と特別損失)

 

区分表示の原則

 

 営業損益計算  経常損益計算  純損益計算

 

損益計算書作成の考え方

 

当期業績主義 → 期間的な業績利益  期間損益のみ  (経営者の恣意性の介入)

 包括主義   → 期間的な処分可能利益  期間外損益も含めて

 現行の企業会計原則  形式的には包括主義  実質的には当期業績主義と包括主義を併合

 

規定文(5)

 

 売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。ただし、長期の未完成請負工事等については、合理的に収益を見積もり、これを当期の損益計算に計上することができる。(注6)(注7)

 

[注6] 実現主義の適用について(損益計算書原則三のB)

 委託販売、試用販売、予約販売、割賦販売等特殊な販売契約による売上収益の実現の基準は、次によるものとする。

(1)  委託販売

 委託販売については、受託者が委託品を販売した日をもって売上収益の実現の日とする。従って、決算手続中に仕切精算書(売上計算書)が到達すること等により決算日までに販売された事実が明らかとなったものについては、これを当期の売上収益に計上しなければならない。ただし、仕切精算書販売のつど送付されている場合には、当該仕切精算書が到達した日をもって売上収益の実現の日とみなすことができる。

(2)  試用販売

 試用販売については、得意先が買取りの意思を表示することによって売上が実現するのであるから、それまでは、当期の売上高に計上してはならない。

(3)  予約販売

 予約販売については、予約金受取額のうち、決算日までに商品の引渡し又は役務の給付が完了した分だけを当期の売上高に計上し、残額は貸借対照表の負債の部に記載して次期以後に繰延べなければならない。

(4)  割賦販売

 割賦販売については、商品等を引渡した日をもって売上収益の実現の日とする。

 しかし、割賦販売は通常の販売と異なり、その代金回収の期間が長期にわたり、かつ、分割払であることから代金回収上の危険率が高いので、貸倒引当金及び代金回収費、アフター・サービス費等の引当金の計上について特別の配慮を要するが、その算定に当たっては、不確実性と煩雑さとを伴う場合が多い。従って、収益の認識を慎重に行うため、販売基準に代えて、割賦金の回収期限の到来の日又は入金の日をもって売上収益実現の日とすることも認められる。

 

 [注7] 工事収益について(損益計算書原則三のBただし書)

 長期の請負工事に関する収益の計上については、工事進行基準又は工事完成基準のいずれかを選択適用することができる。

(1)  工事進行基準

 決算期末に工事進行程度を見積り、適正な工事収益率によって工事収益の一部を当期の損益計算に計上する。

(2)  工事完成基準

 工事が完成し、その引渡しが完了した日に工事収益を計上する。

 

論点

 

■各種販売形態別の収益認識方法

 

○委託販売

 

 原則:引渡基準(受託者が委託品を販売した日)

 例外:仕切計算書到達日基準(実務上の便宜性)  仕切精算書が販売のつど送付(条件)

 

○試用販売

 

 原則:引渡基準(得意先が買取りの意思を表示すること)

 

予約販売

 

原則:引渡基準(商品の引渡し又は役務の給付が完了した分だけ)

 

割賦販売

 

原則:引渡基準(商品等を引渡した日)  掛販売と何らかわらない

 例外:割賦基準(回収期限の到来の日)  代金回収上の危険率が高い  収益の認識を慎重に行う

    回収基準(入金の日)            〃            〃

 

○長期請負工事

 

 原則:工事進行基準(決算期末に工事進行程度を見積り、適正な工事収益率によって工事収益の一部を)

 例外:工事完成基準(工事が完成し、その引渡しが完了した日)※企原では原則(実現の狭義により)

 

 工事進行基準の論拠

 受注生産  販売の保証  請負価格  販売前の段階  収益の確実性と金額の客観性

 企業努力に対する成果  費用と収益の適正な期間的対応  業績評価

 

規定文(6)

 

第三 貸借対照表原則

 

(貸借対照表の本質)

 

 貸借対照表は、企業の財政状態を明らかにするため、貸借対照表日におけるすべての資産、負債及び資本を記載し、株主、債権者その他の利害関係者にこれを正しく表示するものでなければならない。ただし、正規の簿記の原則に従って処理された場合に生じた簿外資産及び簿外負債は、貸借対照表の記載外におくことができる。(注1)

 

 資産、負債及び資本は、総額によって記載することを原則とし、資産の項目と負債又は資本の項目とを相殺することによって、その全部又は一部を貸借対照表から除去してはならない。

 

(貸借対照表の区分)

 

 貸借対照表は、資産の部、負債の部及び資本の部の三区分に分ち、さらに資産の部を流動資産、固定資産及び繰延資産に、負債の部を流動負債及び固定負債に区分しなければならない。

 

(貸借対照表の配列)

 

 資産及び負債の項目の配列は、原則として、流動性配列法によるものとする。

 

 

 将来の期間に影響する特定の費用は、次期以降の期間に配分して処理するため、経過的に貸借対照表の資産の部に記載することができる。(注15)

 

[注15] 将来の期間に影響する特定の費用について(貸借対照表原則一のD及び四の(一)のC)

 

 「将来の期間に影響する特定の費用」とは、すでに代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果将来にわたって発現するものと期待される費用をいう。

 これらの費用は、その効果が及ぶ数期間に合理的に配分するため、経過的に貸借対照表上繰延資産として計上することができる。

 なお、天災等により固定資産又は企業の営業活動に必須の手段たる資産の上に生じた損失が、その期の純利益又は当期未処分利益から当期の処分予定額を控除した金額をもって負担しえない程度に巨額であって特に法令をもって認められた場合には、これを経過的に貸借対照表の資産の部に記載して繰延経理することができる。

 

論点

 

■貸借対照表完全性(網羅性)の原則

 

意義

一定の時点で保有  すべての  資産、負債及び純資産  洩れなく完全に

 

簿外資産・簿外負債が認められる理由

本来、認められない

 利害関係者の判断を誤らせない限り  重要性の原則の適用  簡便な処理  正規の簿記の原則

 

○具体例

 貯蔵品等

 前払費用~

 引当金

 たな卸資産の付随費用

 

■貸借対照表作成原則

 

○総額主義の原則

 直接相殺  その全部又は一部  除去  企業の財政規模

 例外:繰延税金資産・繰延税金負債  将来の税金支払額の影響を端的に示す

 

○配列方法

 流動性配列法(原則)  企業の財務流動性の程度

 固定性配列法(例外)  企業の財務健全性の程度

 

○科目の分類基準

 正常営業循環基準  企業の正常な営業循環過程を構成  すべて流動資産及び流動負債(主たる基準)

 一年基準  貸借対照表日の翌日から起算  (従たる基準)

 

 

■繰延資産

 

○意義

 すでに代価の支払が完了  これに対応する役務の提供を受けた  その効果が将来にわたって発現

 その効果が及ぶ数期間に合理的に配分  経過的に貸借対照表上資産として計上されたもの

 

○繰延経理の根拠

 適正な期間損益計算  効果の発現及び収益との対応関係を重視

 

○資産性

 換金能力はない  収益力要因としての性質

 

規定文(7)

 

(一)  資産

 

 資産は、流動資産に属する資産、固定資産に属する資産及び繰延資産に属する資産に区別しなければならない。仮払金、未決算等の勘定を貸借対照表に記載するには、その性質を示す適当な科目で表示しなければならない。(注16)

 

[注16] 流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について(貸借対照表原則四の(一)及び(二))

 受取手形、売掛金、前払金、支払手形、買掛金、前受金等の当該企業の主目的たる営業取引により発生した債権及び債務は、流動資産又は流動負債に属するものとする。ただし、これらの債権のうち、破産債権、更正債権及びこれに準ずる債権で一年以内に回収されないことが明らかなものは、固定資産たる投資その他の資産に属するものとする。

 貸付金、借入金、差入保証金、受入保証金、当該企業の主目的以外の取引によって発生した未収金、未払金等の債権及び債務で、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に入金又は支払の期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、入金又は支払の期限が一年をこえて到来するものは、投資その他の資産又は固定負債に属するものとする。

 なお、固定資産のうち残存耐用年数が一年以下となったものも流動資産とせず固定資産に含ませ、たな卸資産のうち恒常在庫品として保有するもの若しくは余剰品として長期間にわたって所有するものも固定資産とせず流動資産に含ませるものとする。

 

 創立費、開業費、新株発行費、社債発行費、社債発行差金、開発費、試験研究費及び建設利息は、繰延資産に属するものとする。これらの資産については、償却額を控除した未償却残高を記載する。(注15)

 

 受取手形、売掛金その他の債権に対する貸倒引当金は、原則として、その債権が属する科目ごとに債権金額又は取得価額から控除する形式で記載する。(注17)(注18)

 

 [注18] 引当金について(貸借対照表原則四の(一)のDの1項、(二)のAの3項及びBの2項)

 将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする。

 製品保証引当金、売上割戻引当金、返品調整引当金、賞与引当金、工事補償引当金、退職給与引当金、修繕引当金、特別修繕引当金、債務保証損失引当金、損害補償損失引当金、貸倒引当金等がこれに該当する。

 発生の可能性の低い偶発事象に係る費用又は損失については、引当金を計上することはできない。

 

(二)  負債

 

 引当金のうち、賞与引当金、工事補償引当金、修繕引当金のように、通常一年以内に使用される見込のものは流動負債に属するものとする。(注18)

 

 社債、長期借入金等の長期債務は、固定負債に属するものとする。

 引当金のうち、退職給与引当金、特別修繕引当金のように、通常一年をこえて使用される見込のものは、固定負債に属するものとする。(注18)

 

論点

 

■引当金

 

○意義

 将来の費用・損失  当期の費用・損失  あらかじめ見越計上  貸方項目

 

○計上要件

 将来の特定の費用又は損失  

 その発生が当期以前の事象に起因  (財貨・用役の価値費消原因事実の発生)

 発生の可能性が高く

 その金額を合理的に見積ることができる

 

○計上根拠

 適正な期間損益計算  発生主義の原則  (保守主義の原則)

 

○分類

 評価性引当金(貸倒引当金)と負債性引当金(債務たる引当金と債務でない引当金)

 債務たる引当金は条件付債務ともいう(契約の存在)

 債務でない引当金は非債務ともいう(契約が存在しない)

 

○引当金と積立金

 将来の支出に備えるための不特定資産の留保(共通)

 引当金は期間利益の算出過程  積立金は剰余金の処分過程

 

○貸倒引当金と減価償却累計額

 資産からの控除項目(共通)

 貸倒引当金    → 将来の収入減少額を基礎  原因発生を計上根拠

 減価償却累計額は → 過去の支出額を基礎    事実発生を計上根拠

 

引当金と偶発債務

債務が発生する可能性の高さが違う

 引当金は発生の可能性が高いもの  偶発債務は引当金ほど発生の可能性が高くはない

 偶発債務の具体例:受取手形の割引又は裏書譲渡、係争中の事件、保証債務

 企業会計原則:貸借対照表に注記  企業の将来の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼすおそれ

 

規定文(8)

 

(資産の貸借対照表価額)

 

 貸借対照表に記載する資産の価額は、原則として、当該資産の取得原価を基礎として計上しなければならない。

 資産の取得原価は、資産の種類に応じた費用配分の原則によって、各事業年度に配分しなければならない。有形固定資産は、当該資産の耐用期間にわたり、定額法、定率法等の一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分し、無形固定資産は、当該資産の有効期間にわたり、一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分しなければならない。繰延資産についても、これに準じて、各事業年度に均等額以上を配分しなければならない。(注20)

 有形固定資産については、その取得原価から減価償却累計額を控除した価額をもって貸借対照表価額とする。有形固定資産の取得原価には、原則として当該資産の引取費用等の付随費用を含める。現物出資として受入れた固定資産については、出資者に対して交付された株式の発行価額をもって取得原価とする。(注24)

 贈与その他無償で取得した資産については、公正な評価額をもって取得原価とする。(注24)

 

[注20] 減価償却の方法について(貸借対照表原則五の二項)

 固定資産の減価償却の方法としては、次のようなものがある。

(1) 定額法 固定資産の耐用期間中、毎期均等額の減価償却費を計上する方法

(2) 定率法 固定資産の耐用期間中、毎期期首未償却残高に一定率を乗じた減価償却費を計上する方法

(3) 級数法 固定資産の耐用期間中、毎期一定の額を算術級数的に逓減した減価償却費を計上する方法

(4) 生産高比例法 固定資産の耐用期間中、毎期当該資産による生産又は用役の提供の度合に比例した減価償却費を計上する方法

 この方法は、当該固定資産の総利用可能量が物理的に確定でき、かつ、減価が主として固定資産の利用に比例して発生するもの、例えば、鉱業用設備、航空機、自動車等について適用することが認められる。

 なお、同種の物品が多数集まって一つの全体を構成し、老朽品の部分的取替を繰り返すことにより全体が維持されるような固定資産については、部分的取替に要する費用を収益的支出として処理する方法(取替法)を採用することができる。

 

 商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産については、原則として購入代価又は製造原価に引取費用等の付随費用を加算し、これに個別法、先入先出法、後入先出法、平均原価法等の方法を適用して算定した取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、時価が取得原価より著しく下落したときは、回復する見込があると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額としなければならない。(注9)(注10)(注21)

 

 [注21] たな卸資産の貸借対照表価額について(貸借対照表原則五のAの一項)

(1)  たな卸資産の貸借対照表価額の算定のための方法としては、次のようなものが認められる。

イ 個別法 たな卸資産の取得原価を異にするに従い区別して記録し、その個々の実際原価によって期末たな卸品の価額を算定する方法

ロ 先入先出法 最も古く取得されたものから順次払出しが行われ、期末たな卸品は最も新しく取得されたものからなるものとみなして期末たな卸品の価額を算定する方法

ハ 後入先出法 最も新しく取得されたものから払出しが行われ、期末たな卸品は最も古く取得されたものからなるものとみなして期末たな卸品の価額を算定する方法

 

論点

 

■資産の貸借対照表価額

 

○原価主義の原則

 費用性資産をその取得に要した支出額、すなわち取得原価に基づき評価

 

 処分可能利益を算定するため     → 費用は支出額基準 未解決項目である費用性資産

 客観性・実行可能性を満たすため   → 領収書等の証拠資料により検証可能

 受託責任遂行状況の報告に役立つため → 出資された資金の増減が取引事実に即して把握できる

 

○費用配分の原則

 費用性資産の取得原価を各会計期間に費用として配分

 費用性資産の費用の測定原則であるとともに資産の評価原則でもある

 

○取得原価主義会計の特徴

 資産の評価を取得時の支出額(取得原価)によって行う

 資産の保有中に時価の変動があっても取得原価に基づく評価を続ける

 資産が費用化されたときの費用額を取得原価をもとに測定する

 

取得原価主義会計の欠陥(限界)

時価とかけ離れた数値  適正な財政状態を示さない

 過去の支出額に基づいた費用額  最近の時価を反映した収益と対応  同一価格水準的対応

 価格上昇時に名目利益(保有利得)が処分可能利益に混入  実体資本・実質資本の維持

 

 

 

■有形固定資産

 

○減価償却

 費用配分の原則  有形固定資産の取得原価  その耐用期間における各事業年度に費用として配分

 適正な費用配分  毎期の損益計算を正確ならしめる  正規の減価償却

 固定資産の流動資産化  自己金融

 

臨時償却

減価償却計画の設定  予見することのできなかった新技術の発明等の外的事情

機能的に著しく減価  臨時的に実施される減価償却  (機能的減価)

 正規の減価償却を補完する関係

 

臨時損失

災害、事故等の偶発的事情  固定資産の実体が滅失  臨時的に実施される簿価の切り下げ

 (物質的減価)

 

■棚卸資産

 

○数量計算

 

 継続記録法 → 受入れ及び払出のつど  帳簿に記録  払出数量を直接的に計算

 

 棚卸計算法 → 払出しの記録は行われず  実地棚卸  払出数量を間接的に計算

 

  ※両者単独では減耗の把握はできない(実際、両方法を併用して減耗の把握を行う)

 

○金額計算

 

 先入先出法 → 先に取得したものから先に払出されると仮定

         物的な流れに即応した払出額計算  期末棚卸資産は新しい価額で評価

         価格上昇時に保有利得が処分可能利益に混入

 

 後入先出法 → 後に取得したものから先に払出されると仮定

         損益計算上新しい原価が新しい収益に対応  費用収益の同一価格水準的対応

         価格上昇時には保有利得の計上を抑制

         期末棚卸資産は古い価額で評価(資産評価・財政状態適正開示の点で問題)

 

 


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