企業会計原則 一般原則~資本利益区別の原則

 資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金利益剰余金とを混同してはならない。

 

 この原則には「資本取引と損益取引の区別」(フローの側面)と、「資本剰余金と利益剰余金の区別」(ストックの側面)という二つの異なる要請がある。

 

 

 資本取引と損益取引の区別とは、会計期間内において、収益・費用が生ずる取引と、資本金などの資本が直接的に増加・減少する取引を明確に区別することである。これにより、適正な期間損益計算が可能となる。

 

 資本取引=期首の自己資本そのものの増減変動に関する取引

 損益取引=自己資本の利用による増減取引(収益・費用生じる取引)

 

 

 資本剰余金と利益剰余金の区別とは、一定時点の貸借対照表において、自己資本内部における元本である資本剰余金(当然、資本金も)と果実である利益剰余金を明確に区別することである。これにより、財政状態の適正開示か可能となる。↓注解参照

  

 資本取引=拠出資本の直接的な増減変動による取引

 損益取引=期間利益と留保利益の増減変動による取引

(利益処分も損益取引)

 

 

[注2] 資本取引と損益取引との区別について(一般原則三)

(1)  資本剰余金は、資本取引から生じた剰余金であり、利益剰余金は損益取引から生じた剰余金、すなわち利益の留保額であるから、両者が混同されると、企業の財政状態及び経営成績が適正に示されないことになる。従って、例えば、新株発行による株式払込剰余金から新株発行費用を控除することは許されない。

 

本来の仕訳:

 

(借)現金 100  (貸)資本金 50

           (貸)資本剰余金 50

(借)株式交付費5  (貸)現金 5

 

誤った仕訳:

 

(借)現金 95  (貸)資本金 50

          (貸)資本剰余金 45

 

 株式交付費は利益剰余金のマイナス要素であるのに、元本部分である資本剰余金から控除されると、元本と果実(留保利益)の正しい開示が不可能となってしまう。株式交付費(新株発行費用)は本来、収益をもって負担すべき要素であり、利益剰余金の金額に影響させなければならない。これらが混同されると、貸借対照表による財政状態のみならず、損益計算書による経営成績、さらに、自己資本内部の利益剰余金(留保利益)という経営成績も正しく開示できなくなる。

 

  

払込資本を原資とした配当について

 近年、旧商法の改正により、本来的には企業内に維持すべき払込資本の一部が、配当の原資とすることが可能になってしまった。これは会計理論上問題である(具体的にはその他資本剰余金の「資本金及び資本準備金減少差益」など)。さらには、企業資本として維持すべき部分が社外流出することによって、企業は縮小生産過程をたどることになってしまう。

 

 

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