なぜ簿記が苦手や嫌いになるのか?

 簿記検定3、2級や税理士財務諸表論の講師経験から受講生の簿記に対する苦手意識などの相談も沢山受けてきましたし、その改善も図ってきました。

 

 簿記が苦手な方の多くは文章読解力や分析力に問題がある方が多い。さらには、誰でも簡単に解ける個別論点の計算スピードが遅く、資産・負債・収益・費用のポジション(左なのか右なのか?)がイメージできていない。ほとんどがこのような受験生であったように思います。それらにくわえて実際の簿記の問題は、出題者がわざと意味が分かりにくい文章を並べ立てることが多いので、勉強量の多い受験生でもかなりの失点リスクを背負っています(そうでなければ、受験生が簡単に得点してしまうからですが…)。

 

 簿記3級であれ1級であれ税理士試験であれ、極端なほどに必要なデータが読み取りづらい問題文を与えてきます。そこでパニクッてしまい、普段の実力が発揮できないだけなのです。再チャレンジに向けて、がむしゃらに総合問題を解き直ししまくるのでしょうが、その勉強方法自体が簿記力の低下を招くのです(このことを知っている受験生は少ない)。同じ総合問題を繰り返し解くと解答へのアプローチが簡単にイメージできてしまいます。当然、同じ問題を解くたびに得点とスピードが増しますので、自分では実力が上がったように感じるのです。それはみせかけの実力です。

 

 簿記3級を3ヶ月かけて70点の合格ラインが突破できないのであれば、明らかに複式簿記の本質が理解できていない証拠です。簿記のことがほんとうにわかっていない。簿記2級が合格できないのは工業簿記の基礎レベルで理屈が分かっておらずパターン勉強に陥っている証拠。簿記1級が合格できないのは、テキストなどの教材以上に計算テクニックが研究できていない受け身の姿勢によるものです。簿記1級は独自に会計を研究するような姿勢が必要です。簿記論が合格できないのは個別計算問題の強烈な計算スピードがついていない。簿記論ほど本試験で時間が足らない試験もありません。財務諸表論の計算問題が苦手なのは簿記論がちゃんとできていないだけ。すべてに主だった原因があるのです。

 

 簿記は実に単純な仕組みで成り立っています。そもそも複雑な経済取引を可能な限り簡単に処理するために生み出されたのが簿記です。みなさんが知っている簿記の処理方法に少しでも理不尽なものなんてありましたか?。とことん合理性を追求して財務諸表の利用者に企業の実態開示がなされているのです。

 

 簿記が苦手というのは、根本的に会計処理や経理に関心が持てないというのもあるでしょう。会計人(経理や税理士や会計士)として稼ぐのではない多くのビジネスマンは簿記3級レベルの内容が理解できれば問題ありません。簿記2級の必要性は乏しいです。しかし、会計人は多くの資料から必要なデータを抽出し結論を出さなければならないのです。あなたが出さなければ誰かが困るわけです。簿記が苦手だと税理士にも公認会計士にも合格できません。

 

 簿記の本質が理解されていれば、苦手意識はなくなっていきます。簿記は筋トレとよく似ています。個別計算問題などを利用して基本的な動作を繰り返すことで、頭の中に会計処理BOXが形成されます。もし、その地道な作業が嫌ならば簿記のことは忘れて他のスキルアップに努めましょう。

 

 


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