リース基準

用語の定義

4. 「リース取引」とは、特定の物件の所有者たる貸手(レッサー)が、当該物件の借手(レッシー)に対し、合意された期間(以下「リース期間」という。)にわたりこれを使用収益する権利を与え、借手は、合意された使用料(以下「リース料」という。)を貸手に支払う取引をいう。

5. 「ファイナンス・リース取引」とは、リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、借手が、当該契約に基づき使用する物件(以下「リース物件」という。)からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引をいう。

6. 「オペレーティング・リース取引」とは、ファイナンス・リース取引以外のリース取引をいう。

7. 「リース取引開始日」とは、借手が、リース物件を使用収益する権利を行使することができることとなった日をいう。

会計処理

ファイナンス・リース取引の分類

8. ファイナンス・リース取引は、リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有権が借手に移転すると認められるもの(以下「所有権移転ファイナンス・リース取引」という。)と、それ以外の取引(以下「所有権移転外ファイナンス・リース取引」という。)に分類する。

ファイナンス・リース取引の会計処理

9. ファイナンス・リース取引については、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う。

(借手側)

10. 借手は、リース取引開始日に、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理により、リース物件とこれに係る債務をリース資産及びリース債務として計上する。

11. リース資産及びリース債務の計上額を算定するにあたっては、原則として、リース契約締結時に合意されたリース料総額からこれに含まれている利息相当額の合理的な見積額を控除する方法による。当該利息相当額については、原則として、リース期間にわたり利息法により配分する。

12. 所有権移転ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は、自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により算定する。また、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は、原則として、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定する。積残存価額の合計額から、これに対応するリース資産の取得価額を控除することによって算定する。当該利息相当額については、原則として、リース期間にわたり利息法により配分する。

開 示

ファイナンス・リース取引の表示

(借手側)

16. リース資産については、原則として、有形固定資産、無形固定資産の別に、一括してリース資産として表示する。ただし、有形固定資産又は無形固定資産に属する各科目に含めることもできる。

17. リース債務については、貸借対照表日後1 年以内に支払の期限が到来するものは流動負債に属するものとし、貸借対照表日後1 年を超えて支払の期限が到来するものは固定負債に属するものとする。

ファイナンス・リース取引の注記

(借手側)

(借手側及び貸手側)

22. オペレーティング・リース取引のうち解約不能のものに係る未経過リース料は、貸借対照表日後1 年以内のリース期間に係るものと、貸借対照表日後1 年を超えるリース期間に係るものとに区分して注記する。ただし、重要性が乏しい場合には、当該注記を要しない。

結論の背景

経 緯

28. 我が国のリース取引に関する会計基準としては、平成5 年6 月に企業会計審議会第一部会から改正前会計基準が公表されている。改正前会計基準では、ファイナンス・リース取引については、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行うこととされており、その理由として、「リース取引に係る会計基準に関する意見書」(企業会計審議会第一部会平成5 年6 月17 日)では、「我が国の現行の企業会計実務においては、リース取引は、その取引契約に係る法的形式に従って、賃貸借取引として処理されている。しかしながら、リース取引の中には、その経済的実態が、当該物件を売買した場合と同様の状態にあると認められるものがかなり増加してきている。かかるリース取引について、これを賃貸借取引として処理することは、その取引実態を財務諸表に的確に反映するものとはいいがたく、このため、リース取引に関する会計処理及び開示方法を総合的に見直し、公正妥当な会計基準を設定することが、広く各方面から求められてきている。」と記載されている。

29. 改正前会計基準では、法的には賃貸借取引であるリース取引について、経済的実態に着目し通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理を採用しており、これはファイナンス・リース取引と資産の割賦売買取引との会計処理の比較可能性を考慮したものと考えられる。また、改正前会計基準は、リース取引をファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に分類する点や、借手がリース資産を固定資産として計上する点など、国際会計基準及び米国会計基準と平仄を合わせるものであった。

30. 一方、改正前会計基準では、ファイナンス・リース取引のうち所有権移転外ファイナンス・リース取引については、一定の注記を要件として通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理(以下「例外処理」という。)を採用することを認めてきた。現状では大半の企業において、この例外処理が採用されている。

31. 企業会計基準委員会(以下「当委員会」という。)では、この例外処理の再検討について、平成13 年11 月にテーマ協議会から提言を受け、平成14 年7 月より審議を開始した。改正前会計基準に対する当委員会の問題意識は、主として次の点であった。

(1) 会計上の情報開示の観点からは、ファイナンス・リース取引については、借手において資産及び負債を認識する必要性がある。特に、いわゆるレンタルと異なり、使用の有無にかかわらず借手はリース料の支払義務を負い、キャッシュ・フローは固定されているため、借手は債務を計上すべきである。

(2) 本来、代替的な処理が認められるのは、異なった経済的実態に異なる会計処理を適用することで、事実をより適切に伝えられる場合であるが、例外処理がほぼすべてを占める現状は、会計基準の趣旨を否定するような特異な状況であり、早急に是正される必要がある。

32. 審議の過程では、主として、我が国のリース取引は資金を融通する金融ではなく物を融通する物融であり、諸外国のファイナンス・リースと異なり賃貸借としての性質が強いことを理由とし、例外処理を存続すべきとの意見も表明された。また、リース契約を通じたビジネスの手法が確定決算主義をとる税制と密接に関係してきたため、会計上の情報開示の観点のみでは結論を得ることが難しい課題であった。

33. 当委員会では、4 年にわたりこのテーマを審議してきたが、その間、平成16 年3 月に「所有権移転外ファイナンス・リース取引の会計処理に関する検討の中間報告」を公表し、また、平成18 年7 月に試案「リース取引に関する会計基準(案)」、平成18 年12 月に企業会計基準公開草案第17 号「リース取引に関する会計基準(案)」を公表している。審議の過程では、関係各方面からの意見聴取も行い、我が国のリース取引の実態を踏まえ議論を行ってきたが、今般、改正前会計基準において認められていた例外処理を廃止するとの結論に至り、基準を改正することとした。

34. また、当委員会では国際会計基準審議会との間で行っている会計基準のコンバージェンスに向けた共同プロジェクトにおいて、リース会計を短期的な検討項目として位置付けており、この基準の改正が行われることにより、現状の国際会計基準第17 号「リース」と平仄が合い、国際的な会計基準間のコンバージェンスに寄与することとなる。

なお、国際会計基準審議会では、平成18 年7 月に現状のリース会計に係る国際会計基準の改正を議題に加えている。そこでは、ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引の区別をすることなく、リース契約に係る使用権を資産計上していくことを基礎に検討がなされる予定である。これは、米国財務会計基準審議会との共同プロジェクトとされているが、最終的な基準の公表までには、相当程度の期間を要すると見込まれる。

用語の定義及びリース取引の分類

35. 用語の定義のうち第4 項から第6 項については、改正前会計基準における定義を変更していない。また、リース取引の分類についても、ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に分類した上で、ファイナンス・リース取引について、所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引に分類する改正前会計基準の方法を変更していない(第8 項参照)。

36. 第5 項にいう「リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引に準ずるリース取引」とは、法的形式上は解約可能であるとしても、解約に際し相当の違約金を支払わなければならない等の理由から、事実上解約不能と認められるリース取引をいう。また、「借手が、当該契約に基づき使用する物件(リース物件)からもたらされる経済的利益を実質的に享受する」とは、当該リース物件を自己所有するとするならば得られると期待されるほとんどすべての経済的利益を享受することをいい、「当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担する」とは、当該リース物件の取得価額相当額維持管理等の費用陳腐化によるリスク等のほとんどすべてのコストを負担することをいう。

 

会計処理

ファイナンス・リース取引の会計処理

(基本的な考え方)

38. 改正前会計基準では、ファイナンス・リース取引について、原則として通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行うこととしており、この基本的な考え方は本会計基準でも変更していない(第9 項参照)。なお、ファイナンス・リース取引は、リース物件の取得と資金調達が一体として行われ、通常は利用期間と資金調達の期間が一致するため、通常の売買取引と類似性を有するものの、まったく同じ会計処理になるわけではない。また、ファイナンス・リース取引のうち所有権移転外ファイナンス・リース取引については、次の点で、所有権移転ファイナンス・リース取引と異なる性質を有する。

(1) 経済的にはリース物件の売買及び融資と類似の性格を有する一方で、法的には賃貸借の性格を有し、また、役務提供が組み込まれる場合が多く、複合的な性格を有する。

(2) リース物件の耐用年数とリース期間は異なる場合が多く、また、リース物件の返還が行われるため、物件そのものの売買というよりは、使用する権利の売買の性格を有する。

(3) 借手が資産の使用に必要なコスト(リース物件の取得価額、金利相当額、維持管理費用相当額、役務提供相当額など)を、通常、契約期間にわたる定額のキャッシュ・フローとして確定する。したがって、所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引では、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理を具体的に適用するにあたり、リース資産の減価償却費の算定(第12 項及び第39 項参照)等で異なる点が生じる。

(借手におけるリース資産の償却)

39. 所有権移転ファイナンス・リース取引については、リース物件の取得と同様の取引と考えられるため、自己所有の固定資産と同一の方法により減価償却費を算定することとした。一方、所有権移転外ファイナンス・リース取引については、リース物件の取得とは異なりリース物件を使用できる期間がリース期間に限定されるという特徴があるため、原則として、リース資産の償却期間はリース期間とし、残存価額はゼロとしている(第12 項参照)。また、償却方法については、次の観点から、企業の実態に応じ、自己所有の固定資産と異なる償却方法を選択することができるものとした。

 

開 示

ファイナンス・リース取引の表示及び注記

(借手側)

42. ファイナンス・リース取引により生じたリース資産については、リース資産の合計額を表す観点や、実務上の過重負担の回避などを考慮し、有形固定資産、無形固定資産の別に、一括してリース資産として表示することを原則とした(第16 項参照)。ただし、有形固定資産又は無形固定資産に属する各科目に含めることも認めることとした。なお、例えば、所有権移転ファイナンス・リース取引には有形固定資産又は無形固定資産に属する各科目に含める方法を適用し、所有権移転外ファイナンス・リース取引には、有形固定資産、無形固定資産の別に一括してリース資産として表示する方法を適用することも認められる。

43. 借手における注記としては、リース資産の内容と減価償却の方法を記載することとした(第19 項参照)。リース資産の内容について、勘定科目別に金額を注記することも考えられるが、コスト・ベネフィットの観点から主な資産の種類等を記載することで足りることとした。

 

 


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