工事契約会計

 長期の請負工事については、従来、工事完成基準と工事進行基準が選択適用できました。しかし、国際的には請負工事の特性から、工事進行途中においても成果が認識できるはずであるとの考えから、我が国においても、新会計基準が設定され、原則的には工事進行基準による収益認識を行うことが強制されました。

 

これまでの認識基準(企業会計原則)の特徴と問題点

 工事収益の計上については、工事進行基準又は工事完成基準のいずれかを選択適用することができた。

 

 問題点は、財務諸表間の比較可能性が損なわれることである。

 

 同じような請負工事契約であっても、企業の選択により異なる収益等の認識基準が適用される結果、財務諸表間の比較可能性が損なわれる。

 

新基準の基本となる思考(財務報告の目的と工事契約の関係について)

 企業が資金をどのように投資し、投資にあたって期待された成果に対して実際にどれだけ成果を上げているかについての情報を提供することが重要である。実績としての成果は、投資にあたって事前に期待されていた成果が事実となったと認められる時点で把握される。

 

 工事契約による事業活動は、工事の遂行を通じて成果に結び付けることが期待されている投資であり、そのような事業活動を通じて、投資のリスクから解放されることになる。工事進行基準が認められているのは、このような取引については、一定の条件が整えば当該工事の進捗に応じて対応する部分の成果の確実性が認められる場合があるためと考えられる。

 

適用範囲

 本会計基準は、仕事の完成に対して対価が支払われる請負契約のうち、基本的な仕様や作業内容を顧客の指図に基づいて行う工事契約を適用範囲としている。

 

工事契約に係る認識基準について

 工事契約に関して、工事の進行途上においても、その進捗部分について成果の確実性が認められる場合

 

  →工事進行基準を適用

 

成果の確実性とは

 工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度が信頼性をもって見積ることができなければならない。

 

工事進行基準の採用根拠

  •  受注生産ゆえに販売の保証があり、請負価格も決まっているためである。
  •  工事契約による事業活動は、工事の遂行を通じて成果に結びつけることが期待されているためである。
  •  企業努力に対する成果が工事の完成・引渡し前の各会計期間においても計上され、費用収益の合理的対応が図られ、各期の業績利益の算定が可能となるためである。

 

 

工事損失引当金の設定理由(収益費用アプローチ)

 工事契約から将来発生が見込まれる損失についても、引当金計上の要件を満たせば、工事損失引当金を設定しなければならない。つまり、工事契約の締結以後に生じた施工者に起因する設計変更や、工事の進捗遅延による経費の増加、想定外の資材価格の高騰等、そのいずれもが過去の事象に起因するものであるためである。さらに、工事契約を締結した当初から損失が見込まれるような場合であっても、損失の発生はそのような工事契約を締結したという過去の事象に起因していると考えることができるため、引当金を計上しなければならない。

 

 目的 …

 

 投資額を回収できないような事態が生じた場合において、将来に損失を繰り延べないため。

 

 

工事損失引当金の計上要件

 工事損失の発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合に計上される。

 

工事損失引当金の計上方法

 工事契約の全体から見込まれる工事損失(販売直接経費を含む。)から、当該工事契約に関して既に計上された損益の額を控除した残額(すなわち、当該工事契約に関して、今後見込まれる損失の額)について、工事損失引当金を計上する。

 


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