研究開発費

基準設定の経緯

  •  研究開発やソフトウェア制作にかかるコストを費用化するか、資産計上するかについて明確な基準がなく、企業の任意で選択することが可能であった。
  •  その結果、企業間・国際間の財務諸表の比較可能性が阻害されてしまった。
  •  これらの問題を解決するため、研究開発費とソフトウェアの会計処理を包括的に規定する会計基準の整備が必要となった。

 

研究及び開発の定義

研究 … 新しい知識の発見を目的とした計画的な調査及び探求

開発 … ①新しい製品等についての計画若しくは設計

     ②既存の製品等を著しく改良するための計画若しくは設計

 

 ①②の研究の成果その他の知識を具体化することをいう

 

研究開発費の会計処理

すべて発生時に費用として処理

 

発生時費用処理の根拠

  • 発生時には将来の収益を獲得できるか否か不明
  •  将来の収益の獲得期待が高まったとしても、依然としてその獲得が確実であるとはいえない。
  •  仮に、資産計上の要件を定める場合にも、客観的に判断可能な要件を規定することは困難
  •  抽象的な要件のもとで資産計上することは、企業間の比較可能性を損なう

 

製造原価処理が認められる場合(例外)

研究開発費は一般的には原価性がないと考えられる。ただし、

  1. 製造現場において研究開発活動が行われ、かつ、
  2. 当該研究開発に要した費用を一括して製造現場で発生する原価に含めて計上している場合

 

ソフトウェアの定義

 コンピュータを機能させるように指令を組み合わせて表現したプログラム等

 

ソフトウェアの会計処理

研究開発目的のソフトウェアの制作費は研究開発費

 

 上記以外であっても制作に要した費用のうち研究開発や著しい改良に該当する部分は研究開発費

 

 コンテンツ(情報)については適用されない(しかし、ソフトウェアとコンテンツが機能的に一体不可分と認められる場合、両者一体として扱うことができる。)

 

ソフトウェアを取得形態別ではなく制作目的別に会計処理する理由

制作目的により将来の収益との対応関係が異なるため

 

受注制作のソフトウェア制作費の会計処理(販売目的のうち受注制作の場合)

 請負工事の会計処理に準じた処理し、制作費は棚卸資産として計上する。

 

市場販売目的のソフトウェア制作費の会計処理(製品マスターの制作費について)

 最初に製品化された製品マスターの完成時点までの制作費は研究開発費として処理する

 

 研究開発の終了時点の判定は、

 

①製品マスターについての販売の意思が明らかにされること

②最初に製品化された製品マスターが完成すること

 

 以上の2要件が満たされた時点で判定される。

 

市場販売目的のソフトウェア制作費の会計処理(製品マスター完成後の制作費について)

  •  機能維持に要した費用(バグ取り、ウイルス防止等)は、発生時の費用として処理する。
  •  製品マスターの機能の改良及び強化に要した費用は、ソフトウェアとして資産計上される。
  •  製品マスターの複写に要する費用は、製造原価(棚卸資産)として処理する。

 

 

製品マスター(改良・強化部分)を無形固定資産に計上する理由

  •  製品マスターは、それ自体が販売の対象物ではなく、機械装置等と同様にこれを利用(複写)して製品を作成する
  • 製品マスターは法的権利(著作権)を有している
  • 適正な原価計算により取得原価を明確化できる

 

 

市場販売目的のソフトウェアの償却方法

  •  見込販売数量又は見込販売収益に基づく償却をおこなう(費用・収益の合理的対応を図るため)
  •  ただし、毎期の償却額は残存有効期間(3年)に基づく均等配分額を下回ってはならない。

(見積の困難性を考慮し、償却期間が合理性なく長期化することを防止するため、償却額の下限を定めた。)

 

 

自社利用ソフトウェアの会計処理

 将来の収益獲得又は費用削減が確実であるソフトウェアについては、将来の収益との対応等の観点から、その取得に要した費用を無形固定資産として計上し、その利用期間にわたり償却を行う。

 

自社利用ソフトウェアの償却方法

  • 利用可能期間にわたって定額法による償却が合理的(利用可能期間は毎期見直す必要がある)
  • 原則、5年以内の償却を要請している(近年の技術革新の状況を考慮して、原則、5年以内の償却という制限を設けている。)。

 


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