純資産会計

 

重要な境界線があり、元本である資本金・資本剰余金と、果実である利益剰余金とに大別されます。しかし、近年の会計基準により、資産や負債に計上することに問題がある暫定的な要素が、純資産の部に計上されるにいたりました。金融基準とも密接な関係がありますから、横断的に学習する必要があります。

 

自己株式、新株予約権、評価換算差額等など、以前の会計ルールとは異なる考え方による貸借対照表への表示となった項目を確認しましょう。

 

資本利益区別の原則

二つの異なる観点のどちらから出題されているかを必ずチェック

以下の会計学の王道問題がちゃんと理解できていなければ、本当に会計理論を理解しているとは言いがたく、合格も難しい。

 

問題

 「企業会計原則」は、「資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない」とする。この「資本取引・損益取引区別の原則」に関して、次の問に答えなさい。

 

(1)  資本取引と損益取引の内容を説明し、資本取引・損益取引区別の原則が必要な理由を具体例を挙げて述べなさい。

(2)  利益の処分により利益剰余金を増減させる取引は、資本取引と損益取引のいずれに分類すべきか。資本会計および損益会計という概念を用いて論じなさい。

(3)  役員賞与の支払いは、資本取引と損益取引のいずれに分類すべきか。役員報酬に係る処理と比べて論じなさい。

 

解答

(1)  資本取引とは、増資や配当等の期首自己資本そのものの増減変動による取引のことをいい、新株発行による株主からの払込は資本取引である。他方、損益取引とは、株式交付に係る手数料の支払い等の自己資本の利用による増減取引のことをいい、期間利益の構成要素となる取引である。適正な期間損益計算を行うためには、両者を厳密に区別しなければならない。

(2)  資本会計は資本と利益の区別を中心課題とする。損益会計は期間収益と期間費用とを適切に配分して適正な期間損益計算を行うことが中心課題となる。利益の処分により利益剰余金を増減させる取引は、適正な期間損益計算の観点からは、期間損益を生じさせるものではないため、資本取引に該当するといえる。

(3)  役員報酬は、確定報酬として支給される場合と業績連動型報酬として支給される場合があるが、職務執行の対価として支給されることにかわりはなく、会計上は、いずれも費用処理される。役員賞与の経済的実態は、費用処理される業績連動型報酬と同様の性格であると考えられるため、損益取引に該当すると考えられる。

 

※役員賞与は、利益の有無にかかわらず職務執行の対価として支給される役員報酬とは性格が異なるとの見解もあるが、会社の利益は職務執行の成果であり、この功労に報いるために支給される役員賞与もやはり業績連動型の役員報酬と同様に職務執行の対価と考えられる。

 

 

ポイント

(3)の「役員賞与」を費用とみてよいのか?を試験委員は問いただしている。よって適正な期間損益計算の視点から、資本取引とはなにか?損益取引とはなにか?を、解答の柱にあげなければならない。

 

適正な期間損益計算の視点からの定義

 

資本取引=期首の自己資本そのものの増減変動に関する取引

    =拠出資本と留保利益それ自体を直接増減させる取引

損益取引=自己資本の利用による増減取引 =収益・費用を生ぜしめる取引

 

 

問題

 企業会計原則の「一般原則三」は「資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。」と述べている。これに関連して、次の各問に答えなさい。

 

1.  資本取引及び損益取引の意味を説明しなさい。

2.  企業会計原則の「注解2」は、「新株発行による株式払込剰余金から新株発行費用を控除することは許されない。」と述べているが、その理由を説明しなさい。

3.  株式払込剰余金の取崩額を原資として配当を行うことは「一般原則三」の趣旨に反するであろうか。理由を付して述べなさい。

解答

1.  資本取引とは、拠出資本の直接的な増減変動による取引であり、損益取引とは、期間利益と留保利益の増減変動による取引である。

2.  株式払込剰余金から新株発行費用を控除すると、資本と利益の混同が生じ、企業の財政状態及び経営成績が適正に示されないこととなるためである。

3.  株式払込剰余金は株主からの払込資本であり、維持拘束性を特質とするため、その取崩額を配当原資とすることは「一般原則三」の趣旨に反するものである。

 

ポイント

3.による「株式払込剰余金を原資として配当すること」を問題視している。ということは、維持拘束すべき元本たる資本剰余金と処分可能な果実たる利益剰余金とを明確に区別する必要を前提としている。よって、自己資本内部における資本利益区別の原則のことであり、最初の問題とは視点が全く異なっているのである。

 


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