4点差がでる!財務諸表論の個別理論問題集

個別理論問題で受験生が苦手そうなもの(盲点や弱点)を列挙しておきます。基礎点の取りこぼしがないように注意しましょう!

 

合致の原則(一致の原則)とはどのような内容であるかを端的に述べよ。

 合致の原則とは、企業の存続期間を1つの会計期間とみた場合に計算される全体利益と各会計期間の期間利益の総和が一致するという関係である。また、この金額は、現金主義会計によって計算される期間利益(キャッシュ・フロー)の総和とも一致している。

 

 

概念フレームワークに基づく「リスクからの解放」の具体例を事業投資と金融投資に分けて説明しなさい。

 事業投資であれば、設備や原材料を使用して生み出された製品やサービスを販売することによって現金又は現金同等物を獲得した場合に、投資のリスクから解放された成果を認識することになる。

 金融投資であれば、金融資産等そのものを利用するわけではなく、当該資産をそのまま清算したならば得られるであろうキャッシュ・フローが投資の成果と考えられる。つまりこの場合のキャッシュ・フローは保有資産の時価に求められる。

 

 

商品等の販売又は役務の提供の対価に係る金銭債権の発生は、いつ認識されるべきであると金融基準では規定しているか。

また、その理由についても述べなさい。

 商品等の受渡し又は役務提供の完了により金銭債権の発生を認識する。その理由は、金銭債権自体を対象とする取引ではないため、取引の契約時においては、まだ金銭債権の時価の変動リスクや取引相手の信用リスクが生じていない。従って、契約締結時は当該金銭債権の発生を認識する必要はない。

 

 

「金融基準」では、条件付きの金融資産の譲渡に関して、リスク・経済価値アプローチと財務構成要素アプローチとがあると指摘している。

そこで、ある企業(譲渡人)が売掛金を第三者(譲受人)に譲渡した場合に、債務者が支払不能に陥ったときには、

譲渡人がその売掛金を買い戻す義務(リコース義務)を負っているならば、

それぞれのアプローチがどのような会計処理を行うことになるかを説明しなさい。

 リスク・経済価値アプローチでは、金融資産の有するリスクや経済価値のほとんどすべてが譲受人に移転したか否かの観点よりその消滅を認識するため、本問の売掛金の譲渡についてはリコース義務が残っているため売掛金の消滅を認識しない。

 これに対して、財務構成要素アプローチでは、金融資産の有するリスクや経済価値を分解して処理するため、売掛金の元本を回収する権利等の消滅を認識し、新たに負担となるリコース義務を時価評価してその発生を認識する。

 

 

金融負債の消滅の認識要件を説明しなさい。

 以下のいずれかの要件を満たした場合に金融負債の消滅を認識する。

  1. 金融負債の契約上の義務を履行したとき
  2. 金融負債の契約上の義務が消滅したとき
  3. 金融負債の契約上の第一次債務者の地位から免責されたとき

      

債権の貸借対照表価額について、

取得価額から貸倒見積高に基づいて算定された貸倒引当金を控除した金額とする理由を資産の本質に係らせて説明しなさい。

 債権は、最終的に現金で回収するため、貸倒見積高を控除した現金による回収可能価額で評価することが、資産の本質である経済的資源、つまりキャッシュを生み出す源泉と整合的であるからである。

 

 

償却原価法で評価された価額の性格について述べよ

 貸借対照表価額は、弁済期又は償還期に収入又は支出する債権金額又は債務額の割引現在価値を意味する。

 

 

ヘッジ会計を適用するための要件を、事前確認と事後確認の観点から述べなさい。

 ヘッジ取引時の要件として、ヘッジ取引において、ヘッジ取引が企業のリスク管理方針に従ったものであることが、文書により確認できること等によって客観的に認められることである。

 また、ヘッジ取引時以降の要件として、ヘッジ取引時以降において、ヘッジ対象とヘッジ手段の損益が高い程度で相殺される状態又はヘッジ対象のキャッシュ・フローが固定されその変動が回避される状態が引き続き認められることによって、ヘッジ手段の効果が定期的に確認されることである。

 

 

ヘッジ取引とはどのような取引かを述べ、

現行基準においてヘッジ会計の例外処理である時価ヘッジが適用できる場合とはどのような場合であるかを説明しなさい。

 ヘッジ取引とは、先物取引、オプション取引などのデリバティブ取引をヘッジ手段として用いる取引をいう。ヘッジ対象の資産又は負債に係る相場変動を相殺するか、ヘッジ対象の資産又は負債に係るキャッシュ・フローを固定してその変動を回避することにより、ヘッジ対象である資産又は負債の相場変動等による損失の可能性を減殺することを目的とする取引である。

 時価ヘッジが適用できる場合とは、ヘッジ対象の資産又は負債に係る相場変動等を損益に反映させることができること、つまりヘッジ対象の時価を貸借対照表価額とすることが認められる場合である。

 

 

自己株式処分差損に関する現行の会計処理について述べたうえで、その会計処理を「資本取引・損益取引区分の原則」に照らして論じなさい。

 自己株式処分差損は、その他資本剰余金から減額する。その結果、その他資本剰余金の残高が負の値となった場合には、会計期間末において、その他資本剰余金を零とし、当該負の値をその他利益剰余金(繰越利益剰余金)から減額する。このような処理を行う理由は、自己株式の処分が新株の発行と同様の経済的実態を有し、その処分差損も株主からの払込資本(マイナス)と同様の経済的実態を有するためである。したがって、通常の有価証券の売却によって生じた損失とは性格が異なり、資本取引に該当すると考えられる。

 

 

棚卸資産の評価基準として、これまで低価法が原価法の例外的な方法と位置付けられてきたのは、

低価法にどのような問題があると考えられていたためか、簡潔に述べよ。

 当期の損益が、棚卸資産の期末時価の変動、又は将来の販売時点に確定する損益によって歪められてはならないためである。また、時価下落による評価損は、それに対応する収益が存在しない。

 

 

棚卸資産の評価における正味売却価額の意味を説明しなさい。また、例外的に認められるものがあれば指摘しなさい。

 正味売却価額とは、売価(売却市場の時価)から見積追加製造原価および見積販売直接経費を控除したものをいう。例外的に再調達原価も認められる。

 

 

連続意見書第四では、原価と比較されるべき時価として正味売却価額(正味実現可能価額)や再調達原価など複数のものが選択可能とされていた。

これに対して「棚卸資産の評価に関する会計基準」では、原則として正味売却価額が採用される。その理由について説明しなさい。

 棚卸資産に対する投資の成果は当該棚卸資産が販売されて初めて確定するため、収益性が低下したために簿価を切下げるに当たっても、販売を想定した価額である正味売却価額を用いることが妥当であるからである。

 

 

所有権移転外ファイナンス・リース取引が、所有権移転ファイナンス・リース取引と性質を異にする点を述べなさい

(なお、解答に当たっては売買という用語を使用するものとする)。

また、この分類により、それぞれの会計処理の相違点を挙げ、相違する理由についても説明しなさい。

 所有権移転外ファイナンス・リース取引は物件そのものの売買というよりは、使用する権利の売買の性格を有する。また、所有権移転ファイナンス・リース取引によるリース資産の減価償却方法は、自己所有の固定資産と同一の方法により行われるが、所有権移転外ファイナンス・リース取引によるリース資産の減価償却方法は、償却期間をリース期間とし、残存価額はゼロとして行われる。このような相違が生ずる理由は、所有権移転外ファイナンス・リース取引の使用期間がリース期間に限定され、期間後に物件の返還を行うためである。

 

 

減損処理を行うにあたって簿価を公正価値(時価)まで切下げるべきとする見解がある。これに対して、

わが国の「固定資産の減損に係る会計基準」では異なる処理を求めている。このようなわが国の基準の基礎にある考え方について説明しなさい。

 わが国の基準では、減損処理にあたって簿価を回収可能価額まで引き下げることとしている。その基礎にある考え方は、貸借対照表には将来に回収可能な原価のみを繰り越し、回収不能な部分については将来に繰り越すことなく当期の損失とすべきというものである。

 

 

固定資産の減損会計について、減損損失の認識が、割引前将来キャッシュ・フローの総額に基づき判断される理由について述べなさい。

 割引前将来キャッシュ・フローの総額に基づく理由は、減損の存在が相当程度に確実である場合に減損損失を認識するためである。

 

 

減損損失の可能性を示す兆候とは反対の兆候が認められる場合には、減損損失の戻入れを行わなければならないとする見解がある。

これに対しわが国の基準では、減損損失の戻入れは認められていない。その理由について述べなさい。

 基準では減損の兆候のみによって減損損失を計上するのではなく、割引前将来キャッシュ・フローを見積もって減損を認識すべきかどうかを判定することから、減損の存在が相当程度確実な場合に限って減損損失を計上しているためである。また、実務負担を増大させる恐れもあるため、減損損失の戻入れは行っていない。

 

 

負ののれんの会計処理方法としては、想定される負ののれんの発生原因を特定し、その発生原因に対応した会計処理を行う方法があるが、

そのうち発生時に全額を利益とする処理方法の考え方について述べよ。

 発生時に利益計上する方法は、識別可能資産の時価の算定が適切に行われていることを前提にした上で、負ののれんの発生原因を認識不能な項目やバーゲン・パーチェスであると位置付け、現実には異常かつ発生の可能性が低いことから、異常利益としての処理が妥当であると考えるものである。

 

 

デット・エクイティ・スワップにおける債権者側の会計処理を説明しなさい。

また、債務者側の会計処理の考え方に券面額説があるが、当該考え方の特徴と問題点を挙げよ。

 債権と債務が債務者側に帰属し当該債権は混同により消滅するため、債権者は金融資産たる債権の消滅を認識する。また、消滅した債権の帳簿価額とその対価としての受取額(株式の時価)との差額を、当期の損益として処理する。

 一方、債務者側の会計処理としての券面額説とは、現物出資される債権の券面額を資本として処理する考え方である。通常、債務が決済されるとき、債務の券面額と対価との間に差額があれば損益を認識しなければならないが、債務免除益相当額が払込資本の増加として処理されてしまうため、資本利益区別の観点からも問題である。

 

 

純利益を構成する収益は、多くの場合、同時に資産の増加や負債の減少を伴うが、そうでないケースの具体例を挙げなさい。

 純資産を構成する項目間の振替と同時に収益が計上される場合があり、具体例としては、新株予約権が失効した場合や過年度の包括利益をリサイクリングした場合などがある。

 

 

資産は、「過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源」と定義されうる。

ここにいう「経済的資源」とは、「キャッシュの獲得に貢献する便益の集合体」を意味している。

この定義を前提として、資産負債法の下での繰延税金資産が貸借対照表に資産として計上される根拠を、

当該繰延税金資産の評価と関連させて述べなさい。

 繰延税金資産は、将来において当該差異が解消した年度に税金減額効果があり、その税金減額相当額をもって評価される。つまり、繰延税金資産は、キャッシュアウト・フローのマイナスという意味でキャッシュの獲得に貢献する便益の集合体といえるため、資産として計上されるのである。

 

 

会計処理として広く用いられる、「洗い替え方式」に存在する考え方とはどのようなものか。端的に述べなさい。

 原価までの回復の可能性があるか否かであり、回復の可能性が有る場合に洗い替え方式が、無い場合に切り放し方式が採用される。

 

 

財表個別理論問題追加

財務会計の目的を端的に述べ、財務会計の有する機能を2つ指摘しなさい。

 財務会計の目的は投資家による投資意思決定に有用な情報の提供であり、機能として情報提供機能と利害調整機能がある。

 

利益計算方法としての損益法と財産法について、それぞれの長所と短所を述べなさい。

 損益法の長所は、利益の発生源泉が明らかになることだが、短所は利益の実在性が不明確なことである。一方、財産法の長所は、利益の実在性が明確になることだが、利益の発生源泉が不明確なことである。

 

事業投資と金融投資の基本的な評価額を、それぞれ投資の成果に関わらせて答えなさい。

 事業資産は基本的に企業が資産の利用により獲得したキャッシュ・フローにより投資の成果が把握されるため、それまでは取得原価により評価される。

 一方、金融資産は基本的に市場価格たる時価の変動により投資の成果が把握されるため、時価により評価される。

 

商品等の販売又は役務の提供の対価に係る金銭債権の発生は、

いつ認識されるべきであると金融基準では規定しているか、また、その理由についても述べなさい。

 商品等の受渡し又は役務提供の完了により金銭債権の発生を認識する。その理由は、金銭債権自体を対象とする取引ではないため、取引の契約時においては、まだ金銭債権の時価の変動リスクや取引相手の信用リスクが生じていない。従って、契約締結時は当該金銭債権の発生を認識する必要はない。

 

評価・換算差額等の性格を述べなさい。

 資産や負債を時価評価した結果生じ、損益計算書の当期純利益に含めらず純資産に直入されるような、投資のリスクから解放されていない部分という性格である。

 

期末における外貨建金銭債権債務の換算方法を、根拠とともに述べなさい。

 外貨額では時価の変動リスクを負わず、時価評価の対象でなくても、円貨額では為替相場の変動リスクを負っているため、決算時の為替相場により換算する。

 

贈与により取得した有形固定資産の取得原価がゼロではなく時価等を基準として公正に評価した額とする理由を、資産の観点から述べなさい。

 資産は経済的資源であり、贈与によって取得した固定資産であっても、経済的資源が存在する限り、資産として計上すべきであるから。

 

(「資産の観点から」が問題のポイントになっている)

 

減損損失の測定について、正味売却価額と使用価値のいずれか高い方が採用される理由を答えなさい。

 合理的な経営者は、投資額を回収する場合に、売却と利用のいずれか高い方法により投資額を回収するため。

 


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