金融資産の論点整理

現金預金、金銭債権、有価証券及びデリバティブ取引により生じる正味の債権等についての認識・測定を確認してください。特に測定(時価評価の大幅導入)はいわゆる会計ビッグバンの申し子的存在です。金融基準発表の記者会見の席で、その他有価証券を時価評価することがコメントされると、その記者会見の場は静まり返ったそうです。その後、企業間の持ち合い株の解消売りが加速しました。

 

金融基準の重要規定文

 

金融資産の認識(計上の可否)

金融資産の発生の認識

 契約時から金融資産についての時価の変動リスクが生じているため、契約締結時にその発生を認識することにした

 

金融資産の消滅の認識

金融資産の契約上の権利を行使したとき… 権利行使(貸付金の回収等)

契約上の権利を喪失したとき… 権利喪失(オプション権の消滅等)

契約上の権利に対する支配が他に移転したとき… 支配移転(金融資産の売却等)

 

リスク・経済価値アプローチ

 条件付きの金融資産の譲渡については、金融資産のリスクと経済価値のほとんどすべてが他に移転した場合に当該金融資産の消滅を認識する方法である。

 

財務構成要素アプローチ

 金融資産を構成する財務的要素(以下、「財務構成要素」という。)に対する支配が他に移転した場合に当該移転した財務構成要素の消滅を認識し、留保される財務構成要素の存続を認識する方法である。

 

金融資産の財務構成要素~ローン・パーティシペーションの場合

特徴

 ・条件付の金融資産である(債権の回収サービス業務が譲渡人に残る)

 ・経済的効果は債権の証券化であり、それを第三者に譲渡している。

 

 リスク・経済価値アプローチでは、金融資産を財務構成要素に分解して支配の移転を認識できず、一括して債権の消滅を認識していた。そのため、取引の実質的な経済効果が譲渡人の財務諸表に反映されない結果をもたらした(財政状態の開示に問題)。そこで、財務構成要素アプローチにより、金融資産の財務構成要素を分解し、その消滅を認識することで金融商品の取引実態を正しく財務諸表に反映させようとしているのである。

 

金融資産の測定(評価)

時価概念

時価とは公正な評価額をいい、市場価格に基づく価額をいう。

 

金融資産の特性

・市場が存在すること等により客観的な価格として時価を把握できる

・当該価額により換金・決済等を行うことが可能

 

金融資産の時価評価の根拠(必要性)

・投資者が自己責任に基づいて投資判断を行うため的確な財務情報を提供することが必要

・企業の側における取引内容の十分な把握とリスク管理の徹底及び財務活動の成果の的確な把握

・国際的視点からの同質性や比較可能性

 

属性(保有目的)に応じた評価の必要性について

・実質的に価格変動リスクを認める必要がない場合がある

・直ちに売買・換金を行うことに事業遂行上等の制約がある場合がある

 保有目的等をまったく考慮せずに時価評価を行うことは、必ずしも、企業の財政状態および経営成績を適切に財務諸表に反映させることにならないためである。

 

金銭債権が時価評価されない理由

 一般的に金銭債権については活発な市場がない場合が多く、受取手形や売掛金は、通常、短期的に決済されることが予定されており、帳簿価額が時価に近似していると考えられるので、原則として時価評価は行わないこととした。

 

破産更生債権等の未収利息の処理について

 すでに計上されている未収利息を当期に損失として処理するとともに、それ以後の期間に係る利息を計上してはならない。

 

社債を償却原価法により評価する理由

・ 正味借入資本(正味債務額)をもって評価額とすることが財政状態開示の点で優れる (B/S面)

・ 利息の発生を正しく認識し各会計期間に割り当てる必要性 (P/L面)

・ 金銭債権について償却原価法に基づいて評価することとの整合性 (会計処理の一貫性)

・ 会社法において債務額以外の適正な価格をもって評価することが認められた

 

売買目的有価証券の意義と処理の特徴

時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券

時価をもって貸借対照表価額とする → 投資者にとって有用な情報は有価証券の期末時点での時価

 

評価差額を当期の損益とする理由

 売却することについて事業遂行上等の制約がない

 時価評価差額が企業にとっての財務活動の成果

 高度な流通市場が備わっていることから、評価益はいつでも売却益に転換できる実現可能な状態にある。

 

満期保有目的の債券の意義と処理の特徴

・満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券

・満期まで保有することによる約定利息及び元本の受取りを目的としている

満期までの間の金利変動による価格変動のリスクを認める必要がない

・原則として、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額とする。

 

子会社株式及び関連会社株式の意義と処理の特徴

・意思決定機関を支配することを目的として保有する株式(子会社株式)

・他企業への影響力の行使を目的として保有する株式(関連会社株式)

事業投資と同じく時価の変動を財務活動の成果とは捉えない

・取得原価をもって貸借対照表価額とする

 

その他有価証券の意義と処理の特徴

・ 売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券

・ 多様な性格を有しており、一義的にその属性を定めることは困難

 売買目的有価証券と子会社株式及び関連会社株式との中間的な性格を有するものとして一括して捉える

 

時価をもって貸借対照表価額とする

事業遂行上等の必要性から直ちに売買・換金を行うことには制約を伴うため、評価差額を直ちに当期の損益として処理することは適切ではない。 → 評価差額の合計額を純資産の部に計上する

 

 評価差額がP/Lを介さず直接B/S純資産の部に直入されることから、P/Lの純利益と期首・期末の純資産の変動額とが一致する関係(クリーン・サープラス関係)が成立しない。ただし、純資産の部を株主資本とそれ以外とに区分化することで、当該関係は株主資本の区分において保持されている

時価が取得原価を上回る銘柄に係る評価差額は純資産の部に計上し、時価が取得原価を下回る銘柄に係る評価差額は当期の損失として処理する(例外:部分純資産直入法)。 → 保守主義の観点・低価法への配慮

 

 


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